サプライチェーン・新エネルギーで主導 東南アジア工業用不動産が構造的拡大
2025年07月12日

2025年、東南アジアの工業用不動産市場は、地域的な注目先から世界的な投資の核心的な分野へと昇格しています。ジョーンズラングラサール(JLL)のデータによると、上半期の総投資額は187億米ドル(前年同期比23%増)に達し、ベトナム・ドンナイ省の工業団地稼働率は92%を超え、タイの東部経済回廊(EEC)内の新エネルギー産業団地は200億米ドル超の資金を吸引。市場は「地域による差異化、業態の高度化、政策連動」という特徴を示しています。

一、三大核心的推進力
1. サプライチェーンの「ニアショア化」
米中貿易摩擦が「チャイナプラスワン」戦略を加速。2025年上半年、ベトナム・タイ・マレーシアの3カ国で世界企業500社のうち56社が製造拠点を設立(電子産業が42%を占める)。フォックスコンやサムスンなどの生産移転により、現地の工業用地価格は半年で28%上昇、工業団地稼働率は94%に躍進。多国籍企業の78%が「サプライチェーン強靭性」を最優先課題と位置付け(2023年比+31%)。
2. 新エネルギー産業の移転
カーボンニュートラル需要を受け、タイ東部経済回廊(EEC)ではBYDやCATLなどが80億米ドル超を投資(工業用地売却+45%、賃料+12%)。インドネシア新首都では20km²のグリーン工業都市を計画し、LGエネルギーソリューションなどと契約、事前予約率76%。各国は政策を強化しており、タイは「10年間免税+用地優遇」、ベトナムは電池製造を「特別優先産業」に指定。
3. Eコマース物流需要の急騰
東南アジアのEコマース規模は2025年に2300億米ドル突破が見込まれるも、高规格倉庫は著しく不足(総量4800万㎡、中国の1/15)。シンガポール・マレーシア・インドネシアの高规格倉庫稼働率は90%超。LazadaやJ&Tなどがスマート分配センターと地域倉庫を展開し、物流不動産の「スマートハブ」化を推進。
二、地域別特性:5カ国の特徴
  • シンガポール:高付加価値指向。土地不足のため高端製造・スマート物流に特化。2025年ROIは5.2%、スマート工業団地比率60%超。
    ベトナム:低コストと中国サプライチェーンに近接し電子・繊維産業が突出。工業団地新規面積1200万㎡(電子産業賃貸比率42%)。
    タイ:政策の成熟と産業集積によりEV・機械分野が急成長。EEC用地価格35%上昇(自動車関連プロジェクト58%)。
    インドネシア:人口ボーナスと内需市場で商品加工産業が発展。2025年冷凍チェーン需要65%増、現地企業賃貸比率60%。
    マレーシア:高端人材を強みに半導体・医療機器産業を推進。半導体団地稼働率96%。



代表地域:

ベトナム・バクニン~バクザン電子回廊(中国国境近く、用地価格+22%、承認期間6-8ヶ月)
シンガポール・ジュロン・イノベーション地区(5G+IoT、稼働率98%、賃料45SGD/㎡/月)


三、業態の高度化:绿色・スマートが標準に
1. グリーン工業団地
シンガポールは2030年までに新規工業建築物のGBI金認証取得を義務化、タイはLEED認証団地に5%減税。インドネシア「ゼロカーボン団地」やマレーシア「绿色技術団地」は賃料18%高でも供給不足、企業の電力コスト12%削減。
2. スマート工業団地
多国籍企業の83%が立地条件にスマート団地を優先(2023年比+40%)。シンガポールJTCはAIで設備停止時間30%削減、ベトナムはデジタルツインで効率25%向上、スマートプロジェクトは15-20%のプレミアム発生。
四、課題と展望
現存課題
  • インフラ不足:インドネシア電力不安定、タイ物流コスト30%高、ベトナム水不足。
  • 資源圧力:シンガポール用地12%減少、ベトナム地价3年で60%上昇、タイEECで技術者20%不足。
  • 政策リスク:インドネシア電池現地化率40%義務化、マレーシア現地従業員70%規制。
将来展望
JLL予測では2025-2030年総投資額1200億米ドル(年平均+18%)。タイEEC、インドネシア新首都、ベトナム中部工業地域が核となり、「工業不動産+ファンド」「軽資産運営」が主流モデルに。
結語
東南アジア工業用不動産は「精密な分野選択・長期運営」時代へ。投資家はサプライチェーンと新エネルギー機会を捉え、現地化課題に対応し、「黄金の10年」の利益を共有すべき。